2008年11月22日土曜日

今を生きる


今回、穂高養生園に行ったのは、実はがん患者さん(とその家族=サポーター)の自助グループの例会に参加するためでもありました。

このグループ、元は12年前に養生園で開かれた、近藤誠氏(「患者よがんと戦うな」という著書で、当時話題になっていた)のセミナーに参加した人々の同窓会から始まったもので、毎年春と秋の2回、養生園で例会を開いています。名づけて、「今を生きる キャンサー21」。

病気の性質上、すでに何人ものメンバーの方が亡くなられましたが、会員からの口コミで、新たに加わる方も多くおられます。私も、養生中このグループに出くわしたのが縁で、今や会員兼顧問医師になってしまっています。

「とてもがん患者と思えない」といわれる元気な会で、5周年記念では笑福亭小松さん(胃がんの術後に徒歩で日本縦断した)を呼んで、寄席を開きました。一昨年は10周年記念シンポジウムを開催(もちろん養生園で)。メインゲストは岐阜の船戸崇史先生で、不肖私もシンポジストを務めました。写真はその時に記念出版された本の表紙です。

いつもしている事は、皆で自分の病気の物語を語り合う事です。語り、励ましあい、分かちあう中で、色んな気付きや癒しを得る事が出来ます。同じ病気を生きていると言う連帯感と支えあう力というのは、本当に大きな力になります。「つながり」の力もホリスティックヒーリングの大きな要素です。

つらい治療、どうなるかわからない命、医療者との関係の悩み、そして人はやがて死ぬ・・・
そんな事を色々話し合ってゆく中で、多くの人から語られるキーワードは、「今を生きる」という言葉です。

さて、来年の関西シンポジウム。仮タイトルは、まさに「今を生きる」です。どんなシンポジウムになるのか楽しみです。

愛場庸雅