2009年2月10日火曜日

代替医療を活かす

組合誌から依頼されて書いている原稿、「健康コラム -ホリスティックヘルスを目指して-」の第4回目の原稿を公開します。ちなみに、第1回から第3回の原稿は、関西支部のホームページの「健康コラム」の欄にすでにアップされています。

タイトル:代替医療を活かす。

 皆さんも、健康食品を食べたり、疲れたとき温泉でアロママッサージをしてもらったり、肩や腰の痛みに鍼を打ってもらったりしたことはありませんか。
 私たちが病気になって病院で治療を受ける時、今の日本でふつうに行われている診断と治療の考え方は、現代西洋医学に基づくものです。それは、近代以降急速に発達した科学的、分析的な考え方に基づいた医学で、病気の原因を分析して診断し、それに対する治療を行ってゆきます。

 一方、世の中にはこの現代西洋医学とは、考え方も方法も全く異なる医療、医学体系があります。このような医療は、現在の医療にとって代るものと言う意味で、まとめて代替医療と呼ばれます。
また、現代の西洋医学では治療が困難な場合に、それを補うと言う意味から、補完代替医療という言葉で呼ばれることもあります。
さらに、これらのいろいろな医療の考え方を整理し再構築しようという、統合医療という考え方も生まれてきています。

代替医療と呼ばれるものには、古い昔から行われていた各国の伝統医学、またその考え方を応用し、そこから派生したさまざまな医学体系があります。
大きなものとしては中国医学、インド医学(アーユルヴェーダ)、アラブ医学(ユナニ)などがあります。いずれも古くからの文明と宗教を基盤とし、体と心に働きかける独自の治療法を持っています。そして、心理療法、手技・運動療法、栄養療法、自然療法などに分類される各種の療法もあります。

具体的な療法を挙げてみます。皆さんはどのくらいご存知で、どのくらい体験された事があるでしょうか?
漢方、鍼灸、あん摩・マッサージ・指圧、カイロプラクティック、オステオパシー、キネシオロジー、リフレクソロジー、セラピューティック・タッチ、レイキ、ハーブ、アロマセラピー、サプリメント、健康食品、断食、マクロビオティック、ゲルソン療法、心理療法、行動療法、催眠、バイオフィードバック、気功、ヨーガ、イメージ療法、瞑想、音楽療法、芸術療法、ユーモア療法、森林療法、温泉療法、タラソテラピー、温熱療法、エネルギー療法、ホメオパシー、フラワーエッセンス、・・・・
その他、挙げ始めるときりがありません。

重要な事は、これらの代替医療は、今の日本の医療における主流の考え方ではなくても、医療として成り立っている以上、何らかの効果はあり、近代科学に基づくエビデンスはなくとも、頭から否定するべきものでは決してないということです。
代替医療の各々は、それぞれ独自の哲学と理論を持っています。この中には、日本ではほとんど知られていなくても、海外では健康保険が利く治療法もあります。アメリカでは、保険制度が日本とは異なるためでもありますが、こういった補完代替医療にかけられるお金が、現代医学にかけられるお金を上回ってしまったという報告もあります。

現代西洋医学が手こずっている病気は、アトピー、アレルギー、がん、自己免疫疾患など、慢性的で、生活習慣が関与し、体だけでなく心も深く関与しているような病気です。このような病気に対しては、代替医療のほうが効果を発揮する事も期待できます。
また代替医療は、全てがそうではありませんが、現代医学の治療法に較べて体に対する副作用が比較的少ないというメリットもあります。今までは、「古臭い、怪しい」治療法は否定されがちでしたが、これからの医療は、むしろその利点を大いに利用すべきではないでしょうか。
西洋医学と代替医療のそれぞれの利点を知り、うまく活用してゆく事は、医療費の削減にもつながると思われます。

ところが一方、残念ながら代替医療の中にはかなり「あやしい」ものが存在するのも事実です。
典型的なのは、例えば健康食品で、「○○さえ飲めば、全ての病気が治る」といったたぐいのものです。このようなものの中には明らかに詐欺まがいのものがあります。
病気という他人の弱みに付けこんで不当な利益を得ようとするのは情けない行為です。それが代替医療への信頼を損ねることになっているのは、大変残念なことです。

まっとうなものと、おかしいものを見分けるのは難しい場合が多いですが、本当に良いもの、信用できるものは、地道に長続きしているはずです。
高すぎるものはやめること。他の治療法をけなす治療家は避けるほうが賢明でしょう。
自分の治療法の弱点、つまり出来る事と出来ない事をきちんと説明してくれる人、治療法の押し付けではなく患者の立場に立って考えてくれる人を選ぶことです。

医者も色々ですが、代替療法家もいろいろ。治療者の品格を見抜くことも大事です。

愛場庸雅