2009年2月3日火曜日

組織管理と人

先日、P2Mセミナーとやらに行ってきました。これはプロジェクト&プログラムマネジメントの略だそうです。いわゆる会社や企業の組織管理に関するものですが、私もこのセミナーに出席して初めて知った言葉でした。

このセミナーには4人の演者が講演をしたのですが、その中のゴールドラット・コンサルティング・ディレクターの岸良裕司氏の「全体最適の問題解決術」の話がとても面白かったので少し紹介します。

これは企業における様々な問題(利益が上がらない、過剰在庫を抱えている、会議が多い、開発が遅れている、コストダウンが進まない、モチベーションが下がっている等々)に対して、どのようにこれらを解決していったらよいのかという話です。

通常のマネジメントではいかに利益を上げ、いかにコストを下げるかといった個々の問題に対していろいろな対策を立て、それを実行するという形のものが多いようです。しかしそのような対策をたててもなかなかうまくいかないのが現実です。なぜならばそれらは個々の問題に対する対症療法に過ぎないからです。

彼が言っているのは個々の問題をバラバラにして考えるのではなく、全体はすべてつながっているので、それらの最も根底にある問題を明確にし、それに対する解決策を実行しさえすれば、あとはそれほど労力をつかうことなく自ずと全体の問題も解決されていくということでした。

つまり「部分」にとらわれるのではなく、あくまで「全体」に目を向け、それらはすべてつながっているので、その問題の最も重要なポイントに対する対策を立てさえすれば、状況は大きく変わるというのです。まさにホリスティックな考え方です。実際、この理論を体系化したゴールドラット博士はこの考え方を「Holistic」という言葉を使って表現しているそうです。

そしてさらに目から鱗だったのは、組織管理と人はセットにして考えないといけないというものでした。大抵の企業コンサルタントなどは、数値や目標管理を重視し、人の心をも含めた対策などしません。

これは当然といえば当然ですが、でも考えてみると確かにおかしいですよね。だって、組織を動かしているのは「人」なんですから、その人の心や考え方を無視して、こうしろ、ああしろといっても、それでは所詮、物事はうまくいきませんよね。

そして物事がうまく運ばないのは、その根底にある考え方の対立だというのです。今のあり方を変え、新しいことにチャレンジするのがよいのか、それともある程度の安定を維持するために今のままでい続けた方がよいのか、などという対立はどこにでもある根本問題のひとつです。

つまり、こうしたらこうなるに違いない、そんなことをしたらきっと失敗するといった、勝手な思いこみが誰にでもあり、それが同じ部門の中のみならず、製造部門や営業部門、経営部門、開発部門といったそれぞれの部所の対立にもなっているというのです。

このセミナーでの話は、まさにこの人と人との対立構造をどのように解決していくのかといった、その解決方法についてのお話でした。つまりどのようにしたら、みんなが持っている間違った思いこみに気づけるのか、そこからどうやってお互いにとって納得ができ、かつお互いにメリットになる対策を立てていくのかという話でした。

私も現在ホリスティックコミュニケーション実践セミナーをやっていますが、まさにこの考え方や方法論に通じるものがあり、また組織改革などにも当然使えるわけなのでとても興味をそそられました。今後はぜひ、この考え方を取り入れながらホリスティック医学協会や病院の改革などにも役立てたいと思いました。

興味のある人はぜひ以下の本を読んでみてください。セミナーでの話がすべて載っています。
 岸良裕司著、全体最適の問題解決入門(ダイヤモンド社)

私のような素人でも読めてしまうとても分かりやすい本です。専門用語は出てきませんので本当に読みやすいです。お薦めです。